
低身長を診断する専門医
低身長を診断する専門医を探すにはどうすればよいのでしょうか。
身長が同年齢の子供に比べて低く、伸び幅もほとんどないという場合は
低身長という病気が考えられます。
低身長の主な原因としては、成長ホルモンの分泌の不足という問題がある
場合が多いとされています。
成長ホルモンを専門に診断している医療科は、「小児内分泌科」や「内分泌内科」
という科になります。
成長科学協会という財団法人に加入している医師が多いようです。
その科には専門の医師がいますが、中には、一般の小児科や整形外科にも、低身長の
診断ができる医師がいる場合があります。
まずはいつも行っている、かかりつけの小児科で相談してみるのがよいでしょう。
もし、他の医療機関へ行かないといけない場合は、紹介状を書いてもらえます。
インターネットで病院を検索する場合は、「小児低身長症外来」、「思春期外来」、
「発達障害外来」などのキーワードで専門外来を探してみるとよいでしょう。
また、低身長の原因としてストレスという場合があります。
その場合は、「心療内科」へ相談に行くのがよいでしょう。
成長科学協会とは
成長科学協会という財団法人がありますが、どんな事をするのでしょうか。
成長科学協会は、1977年に設立され、2010年7月に内閣総理大臣より
公益財団法人に認定されました。
活動目的は、次の項目があります。
- 成長に関する科学の研究及びその助成
- 成長障害疾患・間脳下垂体疾患の予防、診断、治療
- さらにそれらの疾患の予後調査のための研究開発、助言及び協力
- 関連する医薬品及び医療機器の研究開発及び製造に対する指導及び協力
これらを行うことで、「国民医療と公衆衛生の向上に資することを目的」としている
ようです。
低身長などの成長障害に関する研究を行っています。
成長ホルモンの安全性や有効性を明確にするためのデーターベースの作成なども行って
いるようです
医療機関で行う低身長の検査内容
医療機関では、低身長の検査とはどのような検査を行うのでしょうか。
低身長かどうかを医療機関で調べてもらう場合は、以下の検査を行います。
・スクリーニング検査
低身長かどうかを最初に行う検査です。
①成長曲線での確認
子供の今までの成長記録を確認して、成長の過程を確認します。
現在まで、子供の成長記録を付けていたかどうかが重要となります。
②手の骨のレントゲン撮影
骨(特に軟骨)の成長に問題がないかを、手の骨のレントゲンで検査します。
③尿中の成長ホルモンを測定する
成長ホルモンは夜寝ている際に多く分泌されるので、その量を尿から測定します。
朝一番の尿で検査します。
④血液の検査
血液中の成長ホルモンの量を測定します。
血液中の「ソフトメジンC」というホルモンの量を測定することで、体内の
成長ホルモンの大体の分泌量がわかります。
・成長ホルモン分泌刺激試験
スクリーニング検査の結果、成長ホルモンの分泌に問題があると思われる場合に
行います。
①成長ホルモンの分泌を促す薬を服用か注射により投薬します。
②一定時間ごとに静脈から採血を行います。
2~3時間にわたって、数回の採血を行います。
この検査により、成長ホルモンが本当に不足しているのか、不足している場合は
どの程度不足しているかがわかります。
成長ホルモンが正常に分泌されているのに、身長が伸びない場合は、栄養が不足
していたり、内臓に問題あることが考えられます。
治療の内容
専門医ではどのような治療を行うのでしょうか。
低身長の治療は、成長ホルモンの投薬というのがほとんどです。
軟骨に異常がある「軟骨異栄養症」の場合には、骨を伸ばす外科手術を行うことが
ありますが、「軟骨異栄養症」も含めて、すべての低身長の病気には、
成長ホルモンの投薬が有効な治療法となっています。
成長ホルモンとは、子供が成長する上で最も重要な役割を行うホルモンです。
成長ホルモンの治療では、「ヒト成長ホルモン製剤」を注射で投薬します。
ヒト成長ホルモン製剤は、脳下垂体から分泌されている成長ホルモンと同じ構造の
薬で、日本以外でも世界各国で使用されています。
成長ホルモンはタンパク質でできているので、飲み薬で補充すると、胃でアミノ酸に
分解されてしまい、効果が得られません。
そのため、成長ホルモンの投薬は注射器を使います。
注射する薬の量は、血液中のIGF-1濃度などを指標に、子供の体重をもとに
1週間ごとに算出されたものを、週6~7回に分けて投与します。
IGFとは、成長ホルモンによって肝臓などで作られる成長因子です。
本来、成長ホルモンは、毎日就寝している時に分泌されているホルモンですが、
1日経つと消失してしまいます。
そのため治療でも、まとめて投与することができず、ほぼ毎日、寝る前に自宅で注射を
することとなります。
注射する場所は、ふともも、お腹、上腕部などへ行います。
利用する注射は、針が非常に細いペン型の注射器となっています。
ある程度の年齢になれば、お子さんが自分で打つこともできます。
成長ホルモン治療を始めると、すぐに伸びる場合とすぐには効果が見られない場合が
あります。
成長期が終わるまで、辛抱強く続けることが大切となります。
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