
成長曲線と成長ホルモン
成長曲線からどのようなことがわかるのでしょうか。
成長ホルモンとは?
母子手帳には、一般的な児童の6歳までの身長、体重や頭位、胸囲の発育曲線と、 18歳までの成長曲線が記載されています。
成長曲線とは、横軸に年齢、縦軸に身長などの値を折れ線グラフにしたものです。
母子手帳には、その年齢の94%の児童のデータが5本のグラフで記載されています。
この5本のグラフの範囲に自分の子供があてはまれば、問題なく成長しているという ことです。
しかし、成長は個人差があるので、必ずしも平均値のグラフに沿っている訳ではありません。
もし、子供の身長が伸びないなどの症状が見られたり、成長曲線のグラフと著しく異なる場合は、成長ホルモンの異常などの原因が考えられるので、医療機関に 相談した方がよいでしょう。
子供の身長を記録して、成長曲線を作成しておくと、異常が見られて医療機関に 相談した際に、大きな参考資料となるでしょう。
成長曲線での評価にはSD値というのが使われます。
SDとは統計学で標準偏差として使われる言葉で、子どもの身長の成長のバラツキ の程度を表しています。 SD値が+2SDからー2SDの範囲だと問題が無いと言われています。
-2SDより以下の数値であると、低身長の問題が疑われます。
身長が低いのは病気か
身長が低いというのは、病気なのでしょうか。
成長障害の原因による低身長という症状があります。
これは、同性で同年齢の児童の平均身長と比べて、身長が著しく低いか、または身長が 伸びる速度が著しく遅い場合の症状を言います。
ただ少しばかり周りに比べて身長が低い場合には、低身長とはいいません。
低身長が疑われる項目としては、次の2点があります。
①成長曲線の値が、身長が同性で同年齢の児童と比べて-2SD以下である場合
②1年間の身長の増加が、同性で同年齢の児童の平均値の80 %以下(小学校低学年では 約4cm以下)であり、これが2年以上続く場合
これらに該当した場合は、医療機関に相談することをお勧めします。
低身長の原因
成長障害による低身長の原因は何でしょうか。
成長障害による低身長の症状がでる原因としては、以下のことが考えられています。
①成長ホルモンの異常
子供の成長に欠かせない成長ホルモンに異常がある場合です。
②骨や軟骨の異常
骨や軟骨に異常がある場合です。
③内臓の異常
心臓や腎臓、肝臓、消化器官などに異常がある場合です。
④その他
栄養状態の異常、心理的な問題などが考えられます。
また、遺伝的な要因や染色体の異常などの原因もあります。
この中で、成長ホルモンの異常という場合が多いようです。
成長ホルモンの働き
成長ホルモンとはどこで生成されて、どのような働きをするのでしょうか。
子どもの成長に欠かせないホルモンには、成長ホルモンと甲状腺ホルモン、性ホルモン があります。
成長ホルモンは、脳下垂体から分泌されます。
このホルモンは、主に肝臓に働きかけて骨の成長に必要である物質IGF-I(ソマトメジンC) を製造させます。
IGFーIは、骨の成長を促進させ、身長を伸ばす重要な働きをしています。
甲状腺ホルモンにも骨を成長させる働きがあります。
これら2つのホルモンが不足すると、身長の伸びが低下する結果となります。
性ホルモンは、思春期の時期に骨を発育させる働きがあります。
思春期の時期に急激に身長が伸びるのは、このホルモンのおかげです。
成長ホルモンの不足で低身長となる症状が出た場合は「成長ホルモン分泌不全性低身長症」 という病名で呼ばれています。
成長ホルモンの分泌は、思春期が一番多くなります。
思春期前と比べて、2倍くらいの分泌量があるそうです。
成長ホルモンは、特に睡眠時間に分泌量は増えるようです。
よって、十分な睡眠も成長に欠かせない要因のひとつです。
その後、加齢とともに成長ホルモンの分泌量は低下し、30、40歳台では思春期前の 半分くらいになり、50、60歳では3分の1くらいになります。
成長ホルモンは、体の成長を促す作用だけでなく、体の代謝を促進させる作用もあります。
病気への抵抗力や脂肪の燃焼、脳の疲労回復などの作用があるので、年をとっても 必要なものなのです。
低身長症の治療
低身長症の場合は、どのような治療が行われるのでしょうか。
成長ホルモンの不足による低身長症が診断された場合は、成長ホルモンの投与が行われます。
成長ホルモンは、薬により服用すると、消化されてうまく作用し無くなるので、注射器による 投与が行われています。
低身長症での治療は注射器による投与ですが、成長ホルモンの生成を助けるとされるサプリが 発売されています。
アルギニンなどのアミノ酸を含むものが多いようです。
しかし、低身長症の治療という面ではサプリではなく、ちゃんと医療機関に相談する方がよいと思います。
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